大事な大会を前にシンスプリントの痛み(中学3年 女子 バスケットボール)

中学1年製の時に(オスグットではない)膝の痛みで来院したバスケットボール部女子。
遠方からお出ででしたが1回で痛みがなくなって以来、再発もしないとのこと。連れて来られたお父さんも感激され、その後も腰などに痛みが出ると何度かお子さんを連れていらっしゃいました。
その子も今年は3年生。部活の集大成として、万全の状態で大会に挑みたいところです。

ところが大事な大会を前に、シンスプリントの痛みが出始めました。
右足すねの内側、内くるぶしより7~10センチ上のあたり。強めに押すと痛みがあります。走ったり軽くジャンプした時に痛みが強く出ます。
シンスプリントの痛みは、脛骨の骨膜が筋肉に引っ張られて炎症を起こすとされていますが、これはどうも怪しいですね。
痛みの出る脛骨内側には付着する筋肉がないはずですから、筋肉の収縮で骨膜を引っ張るはずがないのです。
脛骨の内側の筋肉は、腓腹筋とヒラメ筋です。
腓腹筋は、大腿骨後面に付着し、下方に行くにしたがってアキレス腱となって踵に付着します。
ヒラメ筋は脛骨と腓骨の上部に付着しますが、すねの内側ではありません。この筋肉もアキレス腱となって踵に付着します。いずれもシンスプリントの部分には付着していません。
その他の足底や足指に関係した筋肉(前頚骨筋、長指屈筋、長母指屈筋、等)は、すねの外側に付着する筋肉です。
下記の写真は、当院の人体模型を撮影したものですが、すねの内側に付着する筋肉は色つけされていません。また、ネット上で検索しても、シンスプリントの部分に付着する筋肉はいくら探しても出てきません。
 
◎図を参照(右足)
 
下肢の骨2(シンスプリント)
 
ただネット上には、下記のような説明図もあったりするのですが、これはなんという名前の筋肉なのかは不明です。
 
No9_fig2.gif

また、シンスプリントとは別に、軽く触れただけでもピリピリする痛みが出ることがありますが、これは若い人には珍しく、高齢者などに多い痛みです。この場合の治療法はまったく別のものになります。

一般的にシンスプリントの対処法は、ウィキペディアにあるように長期の休養ということらしいです。
これは適切な治療法が確立されていないことの証明ですが、そもそも痛みの原因を根本的に間違えているのではないでしょうか。
シンスプリントを放置して、または我慢して運動を続けると疲労骨折につながるおそれがあると解説するサイトもあります。しかし下肢の疲労骨折が必ずしもシンスプリントを伴なうわけでもないことから、直接的な因果関係はないでしょう。それよりも、シンスプリントも疲労骨折も、オーバーワークが原因ということが根本にあると思います。

さて、今回の症例です。 マッサージではない方法で周辺の筋肉の治療をしていきます。
シンスプリントの部分は圧痛があっても腫れていませんから、炎症ではなく剥離の痛みでしょう。これはまた別の方法で直接治療します。

最終的にジャンプしても痛みが出なくなりました。患者さんにもいつもの笑顔が戻ってきました。
ただ、これで実際にプレーして痛みがどの程度かはやってみないと分かりません。

翌日が試合だったので、夕方お父さんにSMS(ショートメール)で様子を聞いてみました。
すると、
「……お陰様で少し外部が痛むものの、ほぼベストな状態で良いプレーが出せました。ありがとうございました」との返事がありました。
良かった! 無事に試合が出来ましたね。
少し外部が痛いとありましたが、治療したシンスプリントは内側の痛みなので、シンスプリントそのものはまったく問題がなかったようです。
次の試合もベストな状態で挑めるといいですね。




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